大判例

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福岡高等裁判所 昭和54年(ネ)5号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

2 ところで控訴人らは、訴外森岡ヂキノが控訴人らの代理人としてなした貸借とその保証は、当該資金の趣旨が訴外株式会社九州日新工業の利益を計る目的にでたものである点において、代理権の濫用であり、民法九三条但書の類推適用により、無効である旨抗争するところ、代理人が自己又は第三者の利益を計るため権限内の行為をした場合において、相手方が代理人の右意図を知り又は知りうべかりしときは、同法条の類推適用により、当該行為の効力が否定される場合があると解すべきである<編注、最判昭42.4.20集二一巻三号六九七頁参照>が、この場合は、自己又は第三者の利益を計ることが代理権付与の趣旨と矛盾撞着する場合であることは、代理制度の本旨に照らして自明の道理であり、自己又は第三者の利益を計ることが代理権付与の目的ないし内容そのものであるときにおいては、これを代理権の濫用として無効とするいわれはない、と解すべきは当然である。

これを本件についてみるに、前示認定のとおり、訴外森岡ヂキノは、控訴人らから、控訴人森岡正雄の子である森岡祥美が経営する株式会社九州日新工業の運転資金借受とその保証そのものについて代理権を付与されていたものであるから、同訴外人が代理人としてなした本件貸借及び保証の所為は代理権の濫用と目すべき性質のものではなく、これが無効とされるいわれはないもの、といわなければならない。

(高石博良 鍋山健 足立昭二)

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